聖霊中学・高等学校
校長先生からのメッセージ

2016年度 卒業式 

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高校卒業式   式辞    2017.3.1.

 

 厳しい寒さが和らいで同窓の森にある紅白の梅が咲き始め、聖霊の丘を囲む自然のうちに、静かに近づく春を感じる本日、大勢の来賓をお迎えして、ここに第63回卒業式を執り行うことが出来ますことを心から喜び、深く感謝申し上げます。

 

 ご列席の保護者の皆様、お嬢様の高校ご卒業、おめでとうございます。こころからお祝い申し上げます。皆様には長い間、この聖霊中学・高等学校を本当に親身になってご支援、ご協力いただきました。誠にありがとうございました。改めて厚くお礼を申し上げます。卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

 去年の10月に世界的に有名な登山家の田部井淳子さんが亡くなられました。77歳でした。60年以上の登山活動のなかで、1975年に女性として世界最高峰のエベレスト登頂を果たしました。その後、また、女性として初めて、7大陸最高峰制覇を達成しました。それどころか、富士山を含め、何と70か国以上の最高峰・最高地点への登頂に成功しました。田部井さんは女性登山家のパイオニアとして、それまで男社会だった登山界を変えました。

 

 田部井さんははじめから力強い女性ではありませんでした。元々、体が小さくて内向きだったそうですが、小学校4年生のときに担任の先生に最初の登山に連れて行ってもらってから、人生の方向が大きく変わりました。平地で見られない景色、頂上でしか見られない絶景を目にした瞬間、「また見たい」「また登りたい」という志が芽生えたのです。そして、また登れるように自分を鍛えて強くなりました。

 

 山にも男にも負けないぐらいこの強い女性である田部井さんの言葉を紹介したいと思います。

 

 

「ゆっくりでもいい。一歩一歩進めば、頂上にたどり着ける」

 

 

 

 人生を山登りに例えたら、卒業生の皆さんは、ここまで来るのにこの3年、また6年間に努力して一歩一歩進んできました。そして今日、一つの頂上、すなわち卒業式にたどり着きました。しかし、これがゴールではありません。これからの長い人生、あと70年か80年間に、また様々な頂上、目標に向かって一歩一歩歩むのです。

 

 楽で緩やかな道もあれば、岩場の多い険しい道もあるに違いありません。山登りのときに、霧などの悪天候で頂上が見えなくなるように、人生の目標を見失うときもあるかも知れません。しかし、試練に負けずに自分を信じて神様に信頼すれば、たどるべきところに必ずたどり着けます。とにかくゆっくりでもいいから、一歩一歩進んでください。 

 

 また、滑落して、夢を諦めたくなるときもあるかも知れません。でも、失敗しても、もう一度立ち上がって、体についた土を払って、一歩一歩進んでください。田部井さんもエベレストを登ったときに、雪崩に遭いましたが、諦めずに、やめずに、また前へ、また上へ、一歩一歩進んで、登り続けて頂上にたどり着けました。

 

 3.11の後、福島県出身の田部井さんは「震災(しんさい)復興(ふっこう)を担う若者に自信と勇気を持ってもらいたい」という思いから、毎年夏、被災地の高校生を連れて、富士山に登りました。去年の7月、癌の進行でだいぶ弱った田部井さんは頂上まで登れませんでしたが、富士山の七合目で高校生たちを励まし、見送りました。これが田部井さんの最後の登山でした。この若い世代への熱い思いを、皆さんが受け取り、一歩一歩前に進んでほしいと思います。

 

 最後、自分だけで登るのではなく、「光の子として」仲間を支え合いながら、歩んで欲しいのです。 

 

 世の光となり、多くの人々と手と手を取り合うような人になれることを祈って、私の式辞といたします。